[特派員レポート 2011年3月] フォルクローレinブエノスアイレスレポート – Milonguera Tomoko

今日はアルゼンチン滞在の思い出でも、タンゴとは違った方面から書いてみようと思う。タンゴ関係ではない皆さんも、アルゼンチンにはこんな側面もあるんだな~と知ってもらえたら嬉しいです。動画も公開しますが、その時間があの滞在の中で一番人と近づいた時間だったかもしれないと思う。とても人と人の距離が近くて、隔たりのない。夏の暑さの中、アサードをする煙(アルゼンチン式バーベキュー)にまかれながら、土ぼこりをあげながら6~7時間踊り続けた時間。振り返ると大きな財産。

アルゼンチンにもフォークロアーの世界がある。日本でもタンゴダンサーをしている人たちのほとんどが知っているチャカレーラもその1つ。他にも・・・

  • ガト
  • バイレシート
  • サンバ
  • エスコンディード
  • ウエジャ
  • ホタ・コルドベサ
  • チャマメ

など様々な様式がある。こういったダンスが何時間も、何時間も踊り続けられるような場所があって、「ぺーニャ」って言われてる。フォークロアーの世界ってどちらかと言うとより土臭いイメージある通り、都会ではなく田舎の文化が背景にある、首都のあるブエノスアイレス州以外の州のものと考えてもらうと良いと思う。

Pena en La PIal

もともとタンゴではなく、そのフォークロアーの世界からアルゼンチンを好きになった自分は、滞在中そちらのスポットにも足を運んだ。アルゼンチンのアンデス系フォークロアー音楽の演奏家の大家で、チャランゴという楽器を弾くハイメ・トーレス、やはりフォークロアー音楽のバイオリニストのホルヘ・ゴルディージョのライブなど・・。そういった場所に行くとみんな音楽を聴きながら気持ちが熱くなってくると踊りだす・・(1つ補足しておくと、ここで話しているダンスはペアーで踊るもの)。それぞれのペアーが思い思いに、引いては返す波のように踊っている様はとても幸せな気持ちにしてくれる。そんな様子がぺーニャでは始終続く。タンゴと違って決してエレガントなイメージはなく、とても素朴。

Entrada de Pena

足を運んだぺーニャの1つを紹介しようと思います♪ブエノスアイレスのセントロから電車で1時間ほどのところに、Sordaux(ソルダウって言ってたかな?)という小さな町があって、駅に降り立つと何でもない商店街のようなところが1区画くらいあるだけで、あとは素朴な住居が永遠と続いているような特にアトラクションがあるような所ではなかった。そんな町を案内されるがままとある角を曲がってしばらく歩いたら・・崩れかけたレンガ造りの壁の囲まれ、屋根がある代わりにテントが張られた敷地に入ると・・アサードをする煙に乗って、フォルクローレの音楽が流れ、土の床の上で踊っている人たちの姿。明らかに人種の違う私の姿をみて彼らはどう思っただろうか?私はとてもドキドキしていた。とても好きな世界だけれど、受け入れてもらえるのかしら・・と。

Asado

会場に入って受付を済ませ、私を連れて行ってくれた友人が既に他の人たちに押さえてもらっていた机に案内してくれた。到着した時間はお昼少し過ぎた頃で、お腹も空いていたし、暑かったし、会場の片隅で焼いているアサードに、サラダに、そしてキルメス(ビール)をいただく。あの空気の中ではまた格別だった!お腹も落ち着き、あぁ踊ってみたいな~と思いながら踊る人たちの姿を見ていたら、同じ机に座っていた可愛らしいおじいちゃんが誘ってくれて、チャカレーラ、ガトを踊る。そういえば、タンゴと似ていてタンダ形式のようになっていて、例えばチャカレーラ3曲の後にはガトが3曲続いたり。やっぱり同じ形式の間は同じ人と踊る。でもコルティーナみたいなものがないから、区切りがなく、次の形式にそのままなだれ込むもんだから、同じ人と30分くらい踊っている様子も当たり前の感じだった。

正直踊り方の形式を知らないものも殆どだった。でもチャカレーラが踊れたお陰か、その姿を見て他の男性型もどんどん誘ってくれて、その度に他の形式も教えてくれて、気がついたらだいぶ知らなかったスタイルにも馴染み始めていて、あの7時間をほとんど踊り倒していたんじゃないかと思う。まぁ・・向こうの男性陣は褒め上手だから、「いいね~上手だね~かわいいね~」とかおだててくるもんだから諦めずにいられたとも言うか(笑)とにかくラテン系の人間たちは楽しむことが上手いんだなと思った。楽しくってしょうがないっていうエネルギーが途切れないんだよね。すごいよ~。次に足を運ぶことがあったら、もっと踊れるようになってあの輪に混じりたいもの。

ちなみにその日は7時間ほどそんなフィエスタ状態が続き、音楽もCDだけじゃなくって、5楽団がほどだったかな?演奏する人たちが来て、入れ替わり立ち代り。そして子供達のデモタイムもあった。ちびっちゃいのに男の子はマッチョに一人前の男性のように、女の子は男性の扱いをすでに知っている一人前のレディーのように踊っている姿は微笑ましかったなぁ。

タンゴを踊っている方も、ちょっとアルゼンチンに旅行に行ってみたいなと思っている方も、是非機会があればそんな世界を覗いて見たら面白いかもしれない。ちなみに・・・これはタンゴ関係者向けの話になってしまうけれど、決してフォルクローレの世界とタンゴはかけ離れていないと思う。ミロンガのもともとの成り立ち、古くからあるスタイル、踊る際の腰から下へかける重み、踏み込みの力強さなど反対に学ぶことが多かった。これからも私は自分の中に両方の世界を共存させていきたいという気持ち♪

動画をあげます。1つはぺーニャで皆がサンバを踊っている様子。もう1つは子供達のデモ場面です。あ、あと、これは自分で撮った動画ではありませんがコルドバ州のダンスの1つホタ・コルドベサを踊っているもの。格好は全く違うけれど、ヨーロッパ調でしょ♪

Peña en Sordaux de Buenos Aires

Peña en Sordaux de Buenos Aires2

La Jota Cordobesa

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