[特別インタビューVol.2] Angelinaシューズ – Hiromiさん、Lamさんへのインタビュー

One of Angelina Collection

今日は第1回目に引き続きLamさんに登場いただきブエノスアイレスでプロデュースされている「アンジェリーナ」というタンゴシューズについて、東京でディレクターを務めていらっしゃるHiromiさんと共に語っていただこうと思います!

 

Hiromi & Lam (Angelina)

-Tomoko 「こんにちは。前回のインタビューではラムさん、ロベルトさんのタンゴへの思い、そしてタンゴと共にあるブエノスアイレスの生活がよく伝わってくると沢山の方から感想をいただきました。本日はラムさんとヒロミさんがブエノスアイレスでプロデュースされている『アンジェリーナ』シューズについてお話を聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いします!」

-Hiromi&Lam 「こちらこそ、『アンジェリーナ』に興味を持っていただき、ありがとうございます。タンゴと『アンジェリーナ』については、いくら質問されても延々と『語る』ことができる自信があります(笑) ただ、聞いてくださる方がいてのことですが… どうぞ、おつきあいくださいませ(笑)」

―Tomoko「早速ですがラムさんとヒロミさんにとってのタンゴシューズ、そして『アンジェリーナ』というブランド名に込めた思いとはどんなものですか?靴を作り始めたきっかけなど含めてお聞かせいただけたらと思います!」

Angelina Collection
Angelina Collection

-Lam「2009年秋、私が1年の文化庁からの派遣留学を終え、再びブエノスアイレスへ戻ったとき、ちょうどヒロミも長期滞在を始めたところでした。ヒロミは『アンジェリーナ』を始める前から東京でタンゴシューズの輸入販売をしていたことは皆さんもご存知かと思います。かつては現在のように簡単にタンゴシューズが日本でも手に入る環境ではなく、ヒロミは日本へタンゴシューズを導入した第一人者でした。私たちは長年東京で一緒に輸入販売し、経験や知識を積み重ねていました。2人ともダンサーなので、シューズの重要性は身にしみており、ブエノスアイレスのタンゴシューズの市場は知り尽くしていましたが、100%満足できるものが手に入らず、自分たちにとってもっと良いシューズはないかな、と話しているなかで、無いなら創っちゃえばいいんじゃない?と気軽に始めたのがきっかけです。 ブエノスには小さな靴工房が沢山あるのですが、いろいろ歩き回り、見本を作ってもらっては試し、工場を厳選していきました。現在『アンジェリーナ』を製造している工場に出会った時は、ここならイケる!と感じるものがありました。そういう時のヒロミの直感は鋭いものがあり、私はいつも信頼して着いていくことにしています(笑)。

Angelina in action
『シンプルが、女性を一番美しくみせる』 by Coco Chanel

『アンジェリーナ』と名付けたきっかけは、ちょうど私が読んでいた本、ココシャネルの自伝だったのですが、彼女のファッションに対するコンセプト、シンプルが女性を最も美しく見せる、というのが、私とヒロミが思い描いていたイメージと同じでした。タンゴは足の動きを強調した踊り、女性の足さばきが際立つ踊りです。ゴテゴテしたシューズでは、女性の足は美しく見えません。そういえば、昔パリに行った時、ココシャネルが毎日のように通っていたカフェがあるというので行ったことがありましたが、そのカフェの名前が『アンジェリーナ』というのを思い出し、女性らしい素敵な響き、シューズのイメージにぴったりだ!と思い名付けました。」
-Tomoko「一般的な質問ですが、どのようにタンゴシューズは作られているのでしょうか。どこから素材を取り寄せ、どのような場所で、どのような職人さんたちの手によって作られているのか聞いてみたいという声がありました。」

工房の様子 その1
工房の様子 その1

-Lam「『アンジェリーナ』の工房はブエノスアイレスの郊外にあり、5人の職人さんが働いています。革をシューズの形に切る人、縫う人、形成する人、底とヒールを付ける人、仕上げをする人、どの職人さんも長年経験を積んだ熟練した方です。シューズに何か問題があったり、新しいものを形にしたい時など、職人さん達に相談します。この素材、使えるかしら?この部分をこういう風に変えたい!などなど、あれやこれや私達が細かい事を言うのですが、忍耐強く解決法を探ってくれる、今では、なくてはならないチームのようになっています。ブエノスアイレスには革工場が沢山あり、その中でもイタリアで加工された上質の革や柔らかい子牛の革を厳選してきます。革だけでなく、布を使う場合も同じく、イタリアから輸入された上質の生地を選びシューズに使用しています。私は素材を選ぶのにケチることはしたくないんです。なぜなら、職人さん達のシューズに対する愛情あふれる仕事ぶりを見ていると、安い素材を使うのが失礼なような気がしてくるのです。もちろん出来上がるシューズも満足いくものであるのは言うまでありません。」

-Tomoko「『アンジェリーナ』が実現化するまでに苦労したことなどはありましたか?」

工房の様子 その2
工房の様子 その2

-Lam「良いものが無ければ創っちゃえばいいじゃん!と気軽に始めたと言いましたが、実際に自分たちが満足いくものができ、販売できるようになるには想像以上に大変でした(笑)。『アンジェリーナ』が選ぶ素材は全て上質のもの、職人さんも熟達している方ばかり、でも私達がこだわる『アンジェリーナ』のラインを再現してもらうまでには何度も何度も試作を重ねました。シンプルを追求することは、ごまかしが効かない、ラインもバランスも仕上げも完璧でないとダメなんです。また、アルゼンチン人が良しとする基準が日本人の私達のものと違う、お互いを理解するのにもかなりの時間がかかりました。『そんな細かいこと言ってくるのはラムぐらいだ!』と何度も怒鳴られました。日本ではお客様は神様!と言われるように、買う人が強いけれど、こちらはその感覚では通用しません。『気に食わないなら別の工場で作ったらいいでしょ!』と突き離されることも多々ありました。いろんな工場を見て来た私達は、この工場で出来なければ他では不可能…と知っていたので、退くところは退く、でも伝えるべきことは伝える、と忍耐強く付合っていきました。今では、お互いのことを理解し合い、信頼関係が築けていますが、いやぁ、この1、2年、悩みと言えば工場とのコミュニケーションが殆どでしたね(笑)。
-Tomoko「『アンジェリーナ』のシューズは履いていてとても快適だし、どのデザインも女性に喜びを与えてくれるものばかり。シンプル&エレガントの両方の側面を備えていますね。Lamさんの中でどのようにイメージが湧きあがり、実際のデザインとして出来上がって来るのですか?」

Angelina with Cristina Sosa
Angelina with Cristina Sosa

-Lam「シューズの形は細かいバランスや計算が徹底的にされているので、この部分をカットして!など簡単にはいきませんが、『アンジェリーナ』のラインを実現するまでに、何度もこの型を触りました。工場は私達の要望があまりにも細かく、何度でも見本を作らせるので、半狂乱でしたね(笑)。私達のシューズの理想は、足を覆うマテリアルは少なければ少ない方がいい、その方がシンプルで足のラインが綺麗に見える、というものでした。しかし、見た目だけではシューズの形態、ましてや踊るためのバランスを保てないので、工場はNOという、それでも食らいついてやってもらう、まぁ、殆どの場合、工場が言う通りダメでしたが(笑)、そうやって試作を重ねながら、シンプルかつバランスのよいラインを手に入れました。私はファッション雑誌やウェブ上のデザインをいつもチェックしていますが、街角で見かける看板の色彩などをまねたりする事もあります。また、忍耐強く歩く歩く歩く…街を歩いていると、マテリアルなど向こうから出会いがやってきたりします!」
-Tomoko「これはタンゴシューズを選ぶ側にとっては永遠の課題であると思うのですが、このスタイルの、このデザインのものを履いてみたいと思っても、どうしても足の形と合わなかったりすることがありますね。『アンジェリーナ』ではそんな悩みを相談させていただくことは可能ですか?そして日本でそれをさせていただける場所はあるでしょうか?」

Director Hiromi
Director Hiromi

-Hiromi「ブエノスアイレスで販売されているシューズの殆どは、欧米人の足形に合うように出来ています。日本人は幅広で短いのですが、無理に細いシューズを履いているので外反母趾など足を痛めたり、シューズの形状が崩れ見た目も美しく見えません。そのため、『アンジェリーナ』の型は少し広めに作っています。また使用するマテリアルも、上質のものを使っているので足に優しくフィットします。一番大切なソールですが、今では殆どのシューズメーカーが大量生産したりコストを削減するために合皮や固い革を使ったりしていますが、『アンジェリーナ』では最上級のソールを惜しみなく使っています。なので、長時間踊っても足が痛くならない、使えば使うほど馴染んで床との一体感を感じられるようになります。一度試したら止められなくなる!と嬉しい声を沢山頂いているのも、この点が他のシューズとの大きな違いです。 また、足の幅が極端に広い/狭いとやはり合うものを選ぶのは難しいですね。『アンジェリーナ』では、サイズ35の長さで36の幅にして、ヒールも低くして欲しい、など特別オーダーも承っています。こちらは東京のエフェクトタンゴで気軽に相談しに来てください。特別オーダーは1、2ヶ月で届けることが出来ます。」
-Tomoko「男性からも質問が来ていますが、今後Mens用のモデルも『アンジェリーナ』から展開される予定はありますか?」

-Lam「男性ものね〜、良く聞かれるんですが、まだ考えていません… というのも、男性って女性のように靴を沢山買わないでしょ?(笑) 男性の皆さんが1年に最低3足くらい買ってくれるんだったら、考えま〜す!って、ゲンキンな回答でスミマセン(笑)」

取材陣もAngelinaでミロンガへ!
取材陣もAngelinaでミロンガへ!

-Tomoko「本日はお話を聞かせていただき『アンジェリーナ』が生まれ、育っている光景に出合うことができました。これまで以上にそのシューズを身近に感じられています。これからも『アンジェリーナ』が私たちのタンゴシーンをより一層華やかに、心躍るものにしてくれることを楽しみにしていますね。本日はありがとうございました!」

Hiromi&Lam「こちらこそ、ありがとうございます。今後とも皆さんに喜ばれるシューズを提供できるよう、頑張ってまいりますので、今後ともよろしくお願いします!」

『Angelina』
http://www.angelinashoes.com/

2009年、アルゼンチン・ブエノスアイレスで生まれたタンゴシューズブランド『アンジェリーナ』。
日本女性の感性をくすぐる洗練されたデザインと、ダンサーの視点で作り上げられた最高のフィット感を約束する『アンジェリーナ』のタンゴシューズは、現在ブエノスアイレスを拠点に東京、大阪など全国各地で販売されています。

Angelina
本物と踊りたい 〜el tango auténtico en mis pies〜

コメントを残す